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株式会社MUTANに聞く、
「アトリエ」シリーズでのAutodesk Mayaの活用事例

シリーズごとに魅力的なキャラクターが多数登場するコーエーテクモゲームスの「アトリエ」シリーズ。美しいイラスト調の3DCGモデルを手掛けるのは、2007年に設立されたゲーム開発企業である株式会社MUTANだ。おおよそ年間 1本というハイペースで発売される同シリーズの効率的な開発を支える技術とMaya活用法について、同社のキャラクターモデラー 竹折 氏にお話を伺った。


ー自己紹介をお願いします。

MUTAN キャラクターモデラー兼リードの竹折と申します。MUTANは2007年設立のゲーム開発会社で、アトリエシリーズをはじめとするゲーム作品の3DCG制作を担当するほか、自社IPの『グーニャファイター』などの開発を手掛けています。私自身は前職時代からアトリエシリーズの背景やモンスター、NPCモデル制作を担当しておりましたが、MUTANに専門学校時代の先輩が在籍していたご縁もあって、2017年に中途で入社しました。

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Profile.
竹折 啓(Takeori Akira)氏 

勤務会社:株式会社MUTAN(ミュータン)
役職:リードキャラクターモデラー 2017年に中途採用でMUTANに入社。コンシューマーゲーム案件を中心に3DCGキャラクターのモデリングを主に担当してきました。近年では株式会社コーエーテクモゲームス様のガストブランドからリリースされている「アトリエシリーズ」に携わり、キャラクターモデルの制作に関わっています。

ーMUTANの会社規模と、3DCG制作に携わる人数を教えて下さい。

会社全体は62名で、そのうち半分がCG系のデザイナーになります。残りの3割がプログラマー、2割がプランナーという構成です。キャラクター専任のモデラーは7、8名です。案件によってセルルック調の画作りをすることもあればフォトリアル作品に携わることもあるため、作風の幅は広いと思います。

ー本日お話いただくアトリエシリーズについて教えてください。

アトリエシリーズは25 年近く続いているシリーズですが、MUTANが関わり始めたのは2015年発売の『新・ロロナのアトリエ はじまりの物語 〜アーランドの錬金術士〜』からです。そこでの実績を認めていただき、2017年発売の『リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵画の錬金術士〜』以降のシリーズからメインキャラクターモデルの一部を担当させていただいております。

ー竹折様は2017年入社とのことでしたが、具体的にはどの作品から携わっておりますか?

私自身は、MUTANでは『ネルケと伝説の錬金術士たち 〜新たな大地のアトリエ〜』からです。ディレクションやデータ管理なども行っていました。他のプレイアブルキャラクターは、別の作業者と一緒に作業をしました。モデリングもやりつつ進行もやりつつ、といったかたちです。

ー実作業と管理、いずれも担当されていたのですね。開発で使用しているツールを教えて下さい。

メインツールはMayaで、モデリングでは必須として長く使っております。それと併用して、テクスチャ制作用にPhotoshop、衣装のディティール用にZBrushも使っています。Mayaは他社でもよく使われているツールであり、アトリエシリーズの開発元でもあるコーエーテクモゲームス様もMayaで統一されているので、ゲームへの実装やデータ管理などの面で優位性があります。また、個人的にMayaは学生時代から使っていて、3ds Maxのモディファイヤの概念よりも自由な使い方ができる点が好みでした。

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ーこうした制作において、特に課題となった部分を教えて下さい。

どの案件にも共通する話題かも知れませんが、スケジュール面が課題でした。アトリエシリーズはほぼ年間のペースでリリースするため、 短期間で効率的に制作をする必要があります。

ースケジュール上の課題をどのように解決しましたか?

ツールの最適化によって解決しました。Mayaの一番の強みはカスタマイズ性だと思っています。人によって使いたいツール群やショートカット、シェルフへの登録など作業環境が異なると思いますが、Mayaであれば多様なツールの中から自分が使いたい機能にすぐにアクセスできるようカスタマイズができます。もうひとつは有志の方が制作するプラグインです。MayaはPythonやMELコマンドによるプラグイン開発が盛んで、Web上にもたくさんのツールが公開されています。個人的に使えそうなものを検証して、良いものはすぐに社内に共有しています。導入自体もファイルを落として特定のディレクトリに置いてスクリプトエディタで実行するだけなので、利便性が高いです。

ーツール機能の充実とプラグインの充実なども含めて、案件や使用者ごとに最適な設定で作業ができる点がMayaの特徴ということですね。

そうですね。また、エラーが出た際も解決方法がWeb上に掲載されていることが多いです。AUTODESK公式のヘルプページなどを見て解決することが多いですが、ユーザーのSNSやブログを参考にして解決することもあります。Web上に知見が多いというのは現場の安心感に繋がっていて、なにかトラブルが起きたときもすぐに解決できるという信頼感があります。

ーソフトウェアの歴史が長いことで、有志のプラグインが充実していたり、トラブルシューティングの情報も数多くあるという状況になっているということですね。

ほとんどのエラーについては、Web上の情報だけで解決可能ですね。それで難しい場合はコーエーテクモゲームス様側とも協議することもありますが、先方もMayaには信頼感があるので安心して話ができています。ほかにも、表現面やツールの活用方法、最新の便利機能などはボーンデジタル様のページを見たりすることがあります。

ー最後に、今後Mayaをどのように活用したいかの展望を教えて下さい。

モデリングツールとゲームエンジンの間でデータが行き来する回数を短縮したいと考えています。例えば、Mayaの中でゲームエンジン上の描画処理が行われてプレビューできるような仕組みを取り入れれば、確認のためにエンジンに持っていく工数がひとつ減ります。こうした工数をひとつずつ削減していくことで、より表現部分に力を入れることができると思います。

ーありがとうございました。

取材協力
株式会社MUTAN

https://www.mu-tan.co.jp/

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Maya® は 3D アニメーション、モデリング、シミュレーション、レンダリング用CGソフトウェアです。パワフルな統合ツールセットが用意されており、アニメーション、環境、モーション グラフィックス、バーチャル リアリティ、キャラクタの作成に活用できます。

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