煩雑だったSpreadsheetやExcelでの管理から脱却、『デュエル・マスターズ キング!』(テレビ東京)のCG制作を支えたAutodesk SHOTGRID

『デュエル・マスターズ キング!』などをはじめとする数々のTVシリーズを手掛ける株式会社CONTORNO(コントルノ)熊本スタジオは、今年2月に短期間制作での作業効率化のためSHOTGRIDを導入した。従来のSpreadsheetやExcelでの管理では煩雑だったチェック工程のスムーズさや導入に際しての工夫について、同社の3名に話を訊いた。


ーまずは自己紹介をお願いします。

眞鍋:株式会社CONTORNO(コントルノ)熊本スタジオ ディレクターの眞鍋と申します。 

上村:熊本スタジオコーディネーターの上村です。 

福原:同じく、熊本スタジオシステムエンジニアの福原です。

眞鍋:弊社は東京と熊本の拠点があり、東京はゲーム案件やVFXが多く、熊本では劇場やTVアニメ制作が中心という住み分けになっています。弊社代表の宮崎は熊本出身で、私や上村、福原もみんな熊本出身のメンバーです。2016年の熊本地震を契機に「地元でCGスタジオを作りたい」という気持ちが募り、共通する部分も多かったことでお手伝いをさせて頂く運びになりました。現在は12名のスタッフで制作を行っています。

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Profile.
眞鍋 岳史 氏 

CONTORNO熊本スタジオ立ち上げ時から在籍。 CGリードアニメーター兼、プロダクションマネージャー を務めています。 株式会社CONTORNO(コントルノ)は、東京と熊本に拠点を置くCG映像制作会社として2018年に設立しました

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Profile.
福原 康仁 氏

2019年にCONTORNO熊本スタジオに入社。 現在は制作兼、社内のシステム管理をしています。

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Profile.
上村 菊美 氏

2019年にCONTORNO熊本スタジオに入社。 現在は制作兼、ShotGridの管理をしています。 2021年の2月からShotGridを導入しました。

ーこれまでも数多くの作品を制作に携わってきたかと思いますが、2021年2月からはSHOTGRIDによる一元管理を採用したと伺っています。

眞鍋:SHOTGRIDをはじめて運用したのは『デュエル・マスターズ キング!』というTVアニメシリーズ制作からです。株式会社小学館ミュージック&デジタル エンタテイメント様の案件で、数話毎にローテーションでCGパートを担当させてもらっています。弊社は以前からTVアニメ作品には数多く参加していましたが、基本的に社内のチェックはSpreadsheetとExcelをメインに行っていました。私はディレクターとして、一度に複数案件のクオリティチェックを行うこともあります。プロジェクトごとのExcelを毎朝開くのに時間がかかり、管理も煩雑でしたので、別の手法への切り替えは以前から考えていました。

上村:私の方で調査を進めながら、導入を進めていきました。SHOTGRIDの知識はなかったのですが、以前の案件で株式会社オー・エル・エム・デジタル様(以下OLMデジタル様)が導入している事例を見ておりましたので、我々の方でもぜひ運用しようということで。ゼロから勉強して導入しました。 

ーTVアニメシリーズは制作スパンが短いものも多く、制作にはスピード感が求められると思います。その点では、SHOTGRIDの利点はどのように活かされましたか?

眞鍋:良いところはたくさんあるのですが、個人的には動画サムネイルが1番助かっています。マウスを持っていっただけで自動再生されるので、わざわざ開かずともカットの内容が判別できるというのは、すごく大きいですね。

上村:Spreadsheetでは動画を入れることができないので、サムネイルで俯瞰視できるのは便利です。また、弊社では複数のプロジェクトが同時進行することが常なので、従来まではいくつものSpreadsheetを開いたまま仕事をしていました。すべてをSHOTGRIDに統合したことで、プロジェクトをまたぐチェックなどもすごくやりやすくなりましたね。また、進行の立場から言えば、進捗管理をグラフで確認できる点が助かっています。 

福原:SHOTGRIDを導入する前はSpreadsheetでの管理と、使用する素材も決められたディレクトリに置いておくという手法を取らざるを得ませんでした。そのため、チェックの際は指定されたディレクトリに飛ぶという作業が発生していました。SHOTGRID導入後は、データに触るまでの工数がすごく減って扱いやすくなっていると思います。

ーチェック工程での効率化に大きな恩恵を感じられていたということですね。

眞鍋:そうです。とにかく、1エピソードあたり100カットや200カットある案件のデータを毎回クリックして開くのにうんざりしていたので…。こういうのってまさに「塵も積もれば山となる」という感じで業務時間を圧迫しておりましたので、今となってはもう以前の手法には戻れないなという感覚です。

上村:これによって、一人でも複数プロジェクトを管理できるようになったのは大きな利点です。今まで一人ひとりのデスクに行って進捗を確認していましたが、SHOTGRID導入以降は自動的に進捗具合がグラフ化されるので、ミーティングの際にも便利でした。プロジェクト間でスタッフが移動するときも、「ここを見ておいてね」とURLを渡すだけで済むので、さまざまなコストが減っている印象です。

眞鍋:SHOTGRIDだと、動画に赤ペンを入れたり、カットごとにスレッドでコメントが返せたりすると思うのですが、あれも役に立っています。今まではチャットを飛ばすのも手間だったし、場合によってはテキストの送り先を間違えるなどのヒューマンエラーもあって、1つ1つが数十分の遅延になっていたりもしました。細かい部分のミスがなくなり、全体が効率化したことで、生産性が大きく上がりました。他にもScreening Roomという、動画を繋げて再生できるツールがとても便利ですね。

 

ー先ほど、上村氏は「知識がない状態からSHOTGRIDを調べ始めた」と仰っていましたが、導入に際して苦労などはありましたか?

上村:OLMデジタル様での運用事例も拝見していましたし、YoutubeやAutodesk公式の情報なども充実していましたので、2週間ほどで導入自体は完了できました。ほぼ同時期に、アーティストのデータアップロードを簡略化する目的でSHOTGRID CREATEも導入しましたが、こちらの設定もそこまで苦労なく終えることができました。 

眞鍋:SHOTGRID CREATEはアーティストが難しいことを考えず、チェックデータのアップロードができるようにと導入しました。通常はアップロードに際して複数の入力項目がありますが、事前にSHOTGRID側で設定を行っておけばドラッグアンドドロップだけで完了するようになっています。 

福原:今後の展望としては、その他のAutodesk製品との連携を図りたいと思っています。例えば『デュエル・マスターズ キング!』では3dsMAXをメインのDCCツールとして使いましたが、SHOTGRID DESKTOPを使えば案件ごとに起動するアプリケーションや汎用プラグインをロードした状態で作業をスタートできるはずです。親和性の高さを活かすようなワークフローを探りたいです。

 

ーありがとうございます。最後に、これからSHOTGRIDを導入される方へメッセージをお願いします。

上村:我々のように少人数のスタジオでも導入のメリットは非常に大きく、デメリットも存在しないと思っています。自分でも構築できたので、情報を探して勉強をすれば誰にでも出来ると思います。 

福原:SHOTGRIDなしでの管理にはもう戻れないという感覚がありますね。今は以前と違って、Web上にも情報が数多く出ているので、導入の敷居も下がったと感じています。

眞鍋:「そこまで答えてくれるの?」というくらいサポートも丁寧でしたので、細かいところまで本当にお世話になりました。今後はアーティスト主体で、汎用のエフェクトなどのアセットライブラリをSHOTGRID上に構築するなど、我々も新しい手法に挑戦して行きたいです。

ーありがとうございました。

取材協力
株式会社CONTORNO(コントルノ)

https://www.contorno.co.jp/

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Autodesk ShotGrid

ShotGrid ® は、VFX、アニメーション、ゲーム スタジオのための、安全でスケーラブルなプロジェクト管理、レビューツールです。制作チームとワークフローを結び付け、コラボレーションによるレビューが行いやすくなり、アーティストはクリエイティブな作業に集中できます。制作のあらゆる側面を最初から最後まで追跡できます。チームの作業効率が向上し、十分なイタレーションを行えるようになり、スタジオは健全な収益をあげることができます。ShotGrid は世界各地の 1400 を超えるクリエイティブ企業で使用されており、ユーザの貢献によって ShotGrid のツールのエコシステムは発展し続けています。日本国内でも140社のユーザー様にご利用いただいております。

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